第X期 第4回 MDAテクノロジー・フォーラム(MTF) 終了報告
「ビジネスモデリング関連技術/標準の動向」
第X期第4回のMTFは、「ビジネスモデリング関連技術/標準の動向」をテーマに、12月12日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷で開催されました。BPMやSOA、EAなど、ビジネスモデリング関連の最新技術に取り組むリーダー層を中心に計31名が参加し、講演者との質疑も活発に行われ、充実した1日となりました。今回の内容は、まず基調講演でビジネスモデリングにおけるOMGのイニシアティブ、とくにBPMI.orgとの合併以降の新しい方向性と今後の発展を概観し、次いでSOAのための様々なモデリング・アプローチを紹介するという形でプログラムが構成されています。
基調講演「サービス指向を実現するビジネスプロセスモデリング(BPM)
- OMGにおけるビジネスとITのインタフェース」
リチャード・マーク・ソーリー/OMG会長
SOAが柔軟で俊敏性のある組織/システムを作るための有力なアプローチであることは、多くの人が認めるところですが、最近SOAを実現する際にMDA標準を重視し、モデルをベースとしたシステム構築を行うことが成功の鍵であるという認識が、欧米を中心に広がっています。モデル化=抽象化はエンジニアリングの古典的な方法ですが、ビジネスプロセスモデリング(BPM)は、ビジネスプロセス/ルールをモデル化、つまり組織化、可視化、実装、計測・評価することで、事業の目的・目標を達成することです。OMGでは、ビジネスモデリングのための表記法BPMNをはじめ、ビジネスルールに関する2つの標準を採択、BPELなどの実行言語への変換を可能とするビジネスプロセスメタモデルを審議中です。これらによって、MDAはビジネスからITまでをカバーするものへと拡張しようとしています。
「SOA化のための業務モデリング
- 適切なサービスを見つけ出す要のモノ・コト分析」
森田 功
富士通(株) 生産革新本部
SI生産革新統括部 SDAS技術部 プロジェクト課長
SOAのメリットの説明や製品情報が氾濫する中で、具体的にサービス指向のシステムを設計するための実践的情報は意外に少ないのが現実です。森田さんは、業務をモデル化し、最適サービス単位を発見することができるシステム構築技法を開発してきましたが、そのための方法が「要のものこと分析」です。良いものを作ってほしい、と極めて漠然とした要求が来た際などに、まず業務の本質をとらえる分析作業を行い、業務の状態遷移をサービス化していきます。このサービス単位とアーキテクチャをモデリングし、次に評価するわけですが、評価の際に業務の変化要因を分析し、実装イメージをつかみ、サービス単位の見直しをすることが重要であると指摘されています。いくつかの事例をもとに、業務モデリングの方法が説明されました。
「次世代EA (EA2.0)とMDA」
小橋 哲郎
(株)NTTデータ 技術開発本部
SIアーキテクチャ開発センタ チーフアーキテクト兼シニアマネージャ
ITガバナンスと組織の全体最適を確立するためのアーキテクチャであるエンタープライズアーキテクチャ(EA)は、戦略的組織経営のための有力な手段です。米国連邦政府は、国家レベルのITガバナンスのため、すべてのステークホルダー(市民、省庁、議会、大統領にいたるまで)がコミュニケーションをとることができるよう、情報共有のひとつとしてEAを活用しています。小橋さんは「ザックマン・フレームワーク」を日本でいかに効率よく活用できるかをテーマに、ザックマンのコンセプトとEAフレームワークの実用性を組み合わせ、日本の組織に適した日本版EAともいうべきEA 2.0を提唱。とくにBusiness Motivation Model (BMM)の適用や、MDAの枠組みを意識した開発の必要性を説明されました。
「ビジネスとITのモデリング・ギャップを埋める実践的アプローチ」
大嶽 隆児
日本アイビーエム システムズエンジニアリング(株)
エグゼクティブITアーキテクト
石田 英理
アイ・ビー・エム ビジネスコンサルティング サービス(株)
戦略コンサルティングサービス テクノロジー戦略 マネージング・コンサルタント
ビジネスにおいていかにITシステムを戦略的に活用するか、ビジネスとITの融合が企業経営の鍵を握ると言われて久しいですが、どちらも静止してはいないだけに、実際に両者を同期させるための方法や技術は開発途上といえます。大嶽さんと石田さんは、コンポーネント・ビジネス・モデリング(CBM)によるアプローチを提唱しています。CBMは、データ、プロセス、人間、システムにより構成されるビジネスコンポーネントを定義、これを階層的なビジネスアクティビティに展開する形でデザインされ、ITシステムモデリングへと変換されます。2つの系が複合する複雑なシステムにおける柔軟性確保と品質・性能要件という矛盾したニーズに応えるアプローチが解説されました。
「ビジネスモデリングと要求品質向上のためのアプローチ」
鈴木 高弘
(株)ビズモ 代表取締役兼CEO
モデルベースのシステム開発プロジェクトを成功させるには、要求品質の向上が必須です。鈴木さんは、まずシステムの対象となる業務のビジネスルールを明確化し、状態遷移図(モデル)を作成、レビューして、ビジネスのライフサイクルを描くことを提言されました。こうした方法は、SOA、MDAベースの実装と親和性が高く、システムの品質管理も容易です。
◆MDAテクノロジー・フォーラムとは ---------------
MDAテクノロジー・フォーラムは、現場でリーダー的な役割を果たしている、あるいは目指している、ハイエンドの開発技術者を主なターゲットにしたユニークなセミナーです。2002年6月にシリーズ第1回目がスタートして以来、回を重ねるごとに、多くの先進的なエンジニアの方々の知識修得、経験交流の場として内容を充実させてまいりました。毎回異なったテーマを設け、方法論、標準、実装ツール、事例など多方面からMDAにアプローチしていくものです。年4回を単位として開催されています。
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