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レポート
[ 日本初のレポート ]
モデル駆動組込み標準
 
終了報告 第X期第5回 MDAテクノロジー・フォーラム
「MDA4ET - 組込み開発・管理におけるモデル駆動の現状と課題」


第X期第5回のMTFは、「MDA4ET−組込み開発・管理におけるモデル駆動の現状と課題」をテーマに、2007年2月21日、東京・麹町(スクワール麹町)で開催されました。組込みシステムにおけるモデルベース開発の適用に向けて取り組むエンジニアリング企業のリーダー層を中心に25名が参加し、講演者との質疑も活発に行われました。最後のパネルディスカッションでは、参加者の経験と問題意識にもとづく鋭い質問が飛び交い、日本の現状や将来の方向性についても議論されるなど、充実した1日となりました。今回の流れは、まず基調講演で、日本の組込み開発の現状とモデルベース・イニシアティブを紹介、次いで要求管理を徹底させるアプローチである要件駆動型開発、午後はソフトウェア・ファクトリーズの組込みシステムへの適用、モデル駆動開発の実践と教訓、パネルディスカッションで締めくくる形でプログラムが構成されています。



基調講演「組込みソフトウェアをめぐる現状と問題点
- 今何が必要か、なぜモデル駆動か」

二上 貴夫
(株)東陽テクニカ ソフトウェア・システム研究部

組込みソフトウェア開発でも工学的アプローチが必要であることは、広く認められているところですが、自動車産業をはじめとする多くの組込みシステムの分野では、ハードウェアの設計、実装、保守を中心として工学的管理はすでに行われてきました。ソフトウェアの比重がますます大きくなる今後、組込み開発における工学適用はどのようなものになるべきでしょうか。モデル駆動アプローチは、ハードウェアでは常識である設計−実装−保守を、モデルベースで一貫して行うという点で、ひとつの重要な解を与えるものです。『日経エレクトロニクス』2006年9月11日号「設計図がない!脱プログラミング至上主義」でも特集されているとおり、日本でも有効性は確証されており、今後ますます普及するものと思われます。こうした状況から、「モデルベース開発イニシアティブ」の立ち上げを講師の二上氏が中心となって進めていますが、その取り組みについて紹介されました。

「組込み開発環境における要求駆動型開発の実践」
新井 一成
日本テレロジック(株) 技術部

組込みソフトウェア開発の大規模化が進む中、不具合の約8割は仕様と設計が原因と言われています。またソフトウェア・エンジニアリング・センターの調査では、システム開発に失敗したユーザー企業へのアンケートで「要件定義が原因と思われる」のは約9割に達します。重要視される要件定義の完成度が高くないのは、ドキュメントの軽視と昨今の機能要求の増加、変更が多いことやコードの種類の多さがあげられます。新井氏は、「要求駆動型開発(Requirement Driven Development)」を紹介し、文書の管理重視、仕様項目単位のトレーサビリティの確保とそれによる変更事項の把握、そして開発のライフサイクル全体にわたる管理につなげる方法を説明されました。実践例としてツールの画面を見せながら、要求間の関連をモデルで表示するなどの方法を提示されました。

「"ソフトウェアファクトリーズ"入門 - 組込みシステム開発への適用」
太田 寛
マイクロソフト(株) デベロッパー&プラットフォーム統括本部
パートナーテクノロジー推進本部 エンベッデッドエバンジェリストマネージャ

富士ゼロックスでの豊富な現場経験を持つ太田氏は、組込みソフトウェアを用途/分野別、種類別に分類し、組込み開発が抱える問題を示しながら、それらを解決するアプローチとしての「ソフトウェアファクトリーズ」を解説しました。「ソフトウェアファクトリーズ」は、ドメインに特化した開発プロセスと、それを支援するカスタム開発環境を作る方法論で、製品やプラットフォームが多種多様でコンポネント再利用が難しい組込みシステム開発においても、高い再利用性が可能であることを説明されました。また、ソフトウェアファクトリーズは、プロダクトライン、モデル駆動開発、文脈によるガイダンス、アーキテクチャフレームワークを柱とし、開発全体における知識、技術の再利用ができることも詳しく説明されました。

「モデル駆動開発適用の効果と課題」
大谷 宗孝
日本アイ・ビー・エム(株) 開発製造 R&D イノベーション・サービス
開発&エンジニアリングサービス
アドバイザリーソフトウェアエンジニア / テクニカルマスター

大谷氏は、IBMの組込み開発向けサービス体系に触れつつ、組込み市場の現状と課題、モデル駆動型開発の今後などについて説明されました。開発の成功には、アーキテクチャを重視したアプローチ、とくにアプリケーション層、サービス層、論理ドライバー層、ドライバー層の4つに階層化した方法が有効であること、モデリングを成功させるには、モデルの書き方を定めたモデリング規約を準備するのが有効であることを提示されました。実際にツールを使いながらモデルの実行とデバッグを見せ、実際の適用によって得られた効果や今後の課題を述べました。

パネルディスカッション「組込み開発・管理におけるモデル駆動への挑戦」

講師全員をパネリストとして、日本の組込み開発の現状とモデル駆動への挑戦について議論しました。モデル駆動への第一歩として、必ず要件定義を行うべきこと、パイロットプロジェクトでなく実プロジェクトで始めること、モデリングに向いた人材を的確に使うことなどが議論されたほか、上流工程に積極的に取り組んでいかないと、製品設計と不可分なモデリングのアウトソーシングが定着化してしまう懸念があるなど、第一線で活躍中の講師がさまざまな問題提起と提言を行い、会場からの質問も多く活気ある議論となりました。


◆MDAテクノロジー・フォーラムとは ---------------
 MDAテクノロジー・フォーラムは、現場でリーダー的な役割を果たしている、あるいは目指している、ハイエンドの開発技術者を主なターゲットにしたユニークなセミナーです。2002年6月にシリーズ第1回目がスタートして以来、回を重ねるごとに、多くの先進的なエンジニアの方々の知識修得、経験交流の場として内容を充実させてまいりました。毎回異なったテーマを設け、方法論、標準、実装ツール、事例など多方面からMDAにアプローチしていくものです。年4回を単位として開催されています。
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(担当:平野 email: event@otij.org Tel:03-5772-3970)