UML Forum/Tokyo 2002 開催終了報告
質量ともに大成功の第2回UML Forum/Tokyo 今年で2回目になる「UML Forum/Tokyo 2002」(OMGジャパン主催)は、3月26、27日の両日、東京・有明のTFTホールで開催され、昨年を超える盛況のうちに終えることができました。参加人数は、26日が1,085名、27日が1,093名で、折からの悪天候を考慮すれば、UMLへの関心の高さと市場への定着を反映した数字と言うことができるでしょう。しかしそれ以上に、40近いセッションにおける活発な質疑応答、記念すべき第1回の「UMLロボットコンテスト」の熱気こそ、参加者層の広がりとともに、オブジェクト技術関連のイベントとして記録的な成功を証明していると思われます。この重要なイベントを成功に導いた多くの参画企業、そして何よりもボランティアの方々に深く感謝する次第です。 今年のテーマは、UMLが変えるアプリケーション開発の姿に、さまざまな角度から迫ろうということで、UMLで記述されたモデルの動的な側面、つまり「M2C」(Model-to-Code)を取上げました。具体的には、1)リアルタイム/組込システムへの応用であり、2)UMLを基盤にしたOMGの標準技術体系であるモデル駆動型アーキテクチャ(MDA)の展開です。これらを語りうる最高のスピーカーが、全世界から招待されました。 基調講演者に、リアルタイム・システムの第一人者、ブルース・ダグラス、MDAの提唱者、リチャード・ソーリーの両氏を得たほか、特別講演には、ロボットコンテストのコンセプトをいただいたレオン・スター氏、また特別パネルには、昨年に続いてイヴァー・ヤコブソン氏にも登場していただきました。さらにその上に、各セッションの講演者と内容も、世界のトップレベルといえるものでした。ケーススタディ・トラック、組込/リアルタイム・トラックでは、海外および日本の先進事例が紹介され、大きな反響を呼びました。これらを通じて、UMLの導入がたんなるモデルの「標準記法の採用」にとどまらず、システム開発の新しいパラダイムへの適応であることが理解されていったと思われます。 UMLがますます高まる期待に応えるためには、たえず拡張を続けていく必要があります。今年のUMLフォーラムでは、昨年に続いて標準化をリードしているアーキテクトたちによるプレゼンテーションやパネルが、UMLの進化の方向を示していました。アクション・セマンティクスやMOF、XMIは、昨年よりさらに実践に近い内容が展開されました。また、エージェント、あるいはサービス指向アーキテクチャ(SOA)など、周辺の技術との関係についても焦点が当てられていました。会場からの質問の多さは、ここでも目立っていました。
動くUML=ロボットコンテスト モデルはソフトウェアの設計図ですが、それにとどまらず(適切なツール、エンジンが介在すれば)コードを自動生成させることができます。OMGが昨年から提唱しているは、UMLのもつポテンシャルを全面的に展開するものですが、この1年余りの製品化と応用の進展は、OMGの期待をも上回るものでした。建築や機械の設計図は、施工/実装の青写真を示すのみですが、ソフトウェアの設計図は、ソフトウェアを作り出すことができます。モデリングを軽視すれば、これからの世界のソフトウェアの流れから取り残されるのは明らかでしょう。しかし、そのことをどうやって日本で訴えればよいか? UMLのモデルとレゴ・マインドストームを結びつけた、「UMLロボットコンテスト」のアイディアが、リアルタイム/組込システムの第一線で活躍するエンジニアの方から持ち込まれたのは、ちょうど頭を痛めていた時でした。急遽、第1回のコンテストの企画・開催案をまとめましたが、ルールづくり、説明会の開催から当日の競技会の運営まで、すべての面でボランティアの方々にお世話になりました。主として、製造業分野のエンジニア、コンサルタントとその家族の方々ですが、これはテクノロジー・イベントの新しい方向を示すものとなるかもしれません。 モデリングは、オブジェクト指向の世界の中でも、とくにとっつきにくい分野でした。「オブジェクト分析/設計」というだけで逃げ出す人が多いのではないかと思っていた時期もありました。1992年のObject World以来、この技術の普及に関係してきた私としては、今回フォーラムの来場者が、髪の色も服装も年齢も、じつにバラエティ豊かで、しかも笑顔が溢れていたことに、感動を覚えないわけにはいきません。 「UMLロボット」には、日本の製造業の再生という、大それた意図があります。金融、流通、そして製造も、グローバル化にさらされた日本の産業の技術的基盤は「ソフトウェア」です。なお世界のトップを走る日本の製造業が、その技術的蓄積をソフトウェアにフルに反映させることができなければ、リーダーシップを失うことは明らかでしょう。そして、プログラミングに依存した職人仕事では、ソフトウェア化で遅れをとることもはっきりしています。設計の重要性を知る製造業こそ、UMLの第一のユーザーとなるべきなのです。 しかし、というかやはりというか、世界のトップレベルのメーカーは、UMLの応用においても進んでいます。セッションの企画においても感じましたが、エンタープライズ系よりもエンジニアリング系のほうが、UMLの導入には急なようです。「UMLロボット」が、製造業におけるMDAの普及を進めてくれることが期待できそうです。 最後となりましたが、今回のイベントは、昨年までパートナーであったIDGが降板したため、弱体で経験もないOMGジャパンが単独で開催することとなりました。UML技術の普及を社会的使命とする弊社であればこそ、こうした「愚挙」を敢えて行ったわけですが、参加者の方々や参画していただいた企業の方々に、運営上で少なからずご迷惑をおかけすることにもなりました。深くお詫びするとともに、この手づくりイベントを、既製の「ショウ」にとらわれない新しいメディアとして育てていく所存でありますので、さらにご協力のほどをよろしくお願いいたします。