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UML Forum/Tokyo 2004終了報告

OMG日本代表/オブジェクトテクノロジー研究所
鎌田博樹

■UML Forum/Tokyo 2004データ(4月13日/14日)

会場:青山テピア
天候:晴(13日)、雨(14日)
 総来場者数:2,458名(1,369人/1,089人)
 無料来場者:1,404名(748人/656人)
 有料参加者:351名(190人/161人)
 招待者:153名(2日間計)
 その他:221名(2日間計)
 UMLロボットコンテスト関連来場者:331名(13日)

はじめに:全体の印象

 第4回UML Forum/Tokyoは、過去最高となる2,480人(前年は2,020名)の参加を得て、成功裡に終了しました。参加者、講演者をはじめ、共催・協賛団体、スポンサーの方々、プログラム委員の方々、そしてカンファレンスの成功のために最高度の専門性を発揮されて支えていただいたスタッフの方々に深く感謝いたします。
 Webでの登録受付の処理に問題が生じたり、予想を超える参加者のために、一部セミナーでの座席や資料の不足が生じるなど、主催者の不手際は多々ありましたが、カンファレンスの質と量、オペレーションともに大きく前進したと考えております。今回の問題点を解決し、来年の第5回においては、完璧に近いものを目ざしますので、引き続きご協力のほどをお願い申し上げます。
 テクニカル・カンファレンスが成功といえるのは、基本的には参加者がどのように評価したのかによって決まります。つまり「満足度」です。参加者の満足度が高ければ、スポンサーや出展企業、講演者にも満足していただけるわけで、私たちはさまざまな種類のアンケートやインタビューを行って、正確な把握につとめています。これらは近くまとめて発表いたしますが、全体として非常によい評価をいただいております。何よりもこのイベントが、他に例を見ない内容であり、プレゼンテーションのテーマと内容において、現在および将来の技術動向のフォローと技術的ソリューションの提示がなされたことを評価していただいているのは、心強いことです。
 UML ForumやMDA Technology Forumといった弊社のテクノロジーイベントでは、講演者と参加者の間に「互換性」があるのが特徴で、参加者はUMLによる開発の実際を知るリーダー層が中心を占めます。つまり、エキスパートほど高度な情報を必要としているからで、初めて取り上げたビジネスモデリングやモデルベースト・テスティングといった新しいテーマにも、強い問題意識を持って参加された方が多く見受けられました。これは昨年あたりから目立ってきたことですが、各セッションの質問も多く、「質問をしない日本人」という欧米での定説を覆しつつあります。

スポンサー/展示

 テクニカルカンファレンスの規模と内容を左右するのが、スポンサーによる展示やプレゼンテーションであることは間違いありません。今年は、昨年を上回る企業の協力を得ただけでなく、高いレベルの情報を提供していただきました。ベンダー企業は、ユーザーが必要とするだけの技術内容を持っており、それをユーザーに知ってほしいと考えています。また、ユーザーのほうでも、それらの内容を正当に評価する能力を持っています。しかし、現実にはこうしたイベントでベンダーが提供する情報は、参加者が求める内容とかけ離れたものが多く、過度に商業主義的となってミスマッチを起こすことが多い。私たちが追求するイベントは、可能な限り飾りのないストレートなコミュニケーションで、今回の参画企業の各社には、そうした趣旨をご理解いただき、高いレベルの情報をご提供いただきました。
 今後の課題としては、展示スペースにおけるコミュニケーションを、より意味のあるものとするための工夫であると思います。UML Forumでなければ得られない情報、対面によるコミュニケーションの可能性をさらに高めるような仕掛けを、参加者や参画企業の皆さんとご一緒に考えていきたいと思います。今回のUML Forum/Tokyoに対する感想、注文、ご意見などは、下記にお寄せください。

テーマ/コンセプト:MDA in Action

 UML 2.0の採択、ツールや開発環境の成熟、そして流通や金融など様々なドメインでのモデルの普及を受けて、MDAは現実的な技術ソリューション体系であること、その導入には開発者と開発チームの「モデル」への習熟が必要であることが理解されてきました。最近来日していたマーチン・ファウラーなどは、まだ「MDAはゾンビと化したCASEツールだ」と強がっていますが、これは普通の技術者に扱える工学的アプローチに敵意を持つソフトウェア・アーチスト最後の世代の声として、私などには聞こえてしまいます。
 すでにMDAは欧米で主流として認められつつあります。その最大の理由の一つは、メインストリームが最も強い関心を抱いている「レガシー・トランスフォーメーション」を含むソフトウェア・ライフサイクル管理においてMDAが有効であることが実証されるとともに、そのコアとなるビジネスモデリングにおける技術的成熟が急速であることです。そのことは日本ではほとんど伝えられておらず、したがってそれを伝えることが、第4回フォーラムの最大の課題でした。
 基調講演で、OMGのソーリー会長は、OMGで昨年夏から急展開しつつあるArchitecture Driven Modernization (ADM)や、Business Process Metamodel (BPW)の標準化の動きを紹介しつつ、一つのモデリング言語によって、すべてのシステム要素のモデル化と相互の変換を可能にするUML/MDAの意義を、データ・インテグレーションを例に語りました。2日目の基調講演の松島克守教授(ビジネスモデル学会会長)は、UMLが経営とITの間の共通語となりつつあると語り、経営の設計図をITに写すことにより、経営に即応した強力で柔軟なITを実現する戦略を述べられました。教授によれば、経営者の「IT音痴と、IT技術者のビジネス音痴」という現状が問題の根源であり、UMLは初めて両方の世界の共通語となり得るものです。
 今年のフォーラムでは、昨年までのプログラム構成をさらにMDA的に改め、以下のような構成としました。(*は新規トラック)  

・ビジネスモデリング(*)  
・教育/開発プロセス(*)  
・ケーススタディ  
・デザイン  
・インプリメンテーション  
・組込/リアルタイム  
・フューチャー  
・チュートリアル(UML/MDA)

 新規トラックは、これまでのUMLワールドを拡張するものであり、どの程度の注目をいただけるか、不安なところもありました。これらのトラックに多数の参加を得て、多くの質問が出されたことで、日本における技術的成熟もかなりのレベルに達していることが明らかになりました。直前に来日が不可能になり、ビデオカンファレンスを利用したセッションとなった、マンフレッド・ケーテ氏のプレゼンテーションには、制約にも関わらず50人近くも参加しました。欧米でのこのテーマに関する議論の深化を考えると、これは2日間のワークショップを必要とするテーマであり、この好評に励まされて、近い将来MTFシリーズで再度取り組んでみたいと考えています。
 昨年は講師の確保に失敗した「テスティング」では、プログラム委員のご協力により、内外のハイレベルなスピーカーの確保に成功して、今年は見事に実のある内容となりました。先進的なテーマに多くの参加を得て活発なセッションが展開される、というのは私たちの理想とすることであり、来年はさらに多くのテーマについてハイレベルの成功を目ざしたいと考えています。

UMLロボットコンテスト

 ロボットコンテストをUML Forumの併催イベントとしてから3回目の今年は、参加チームが40を超え、ロボコンを目当てに参加される方も200名を超えるまでになって、完全に定着したことを実感しました。スポンサー各社はもちろん、昨年に倍する労力を必要とした運営・審査にボランティアで参加していただいた方々に深く感謝する次第です。ソーリーOMG会長は、このイベントが大好きで、かねがね米国でも実現したいと考えていますが、格段にレベルアップしたモデル展示に、ロボコンの成熟を感じたと言っていました。制約だらけの「フォーミュラマシン」でスピードレースを競うが故に、設計か実装かが常に問題となる、「UMLロボコン」にとっては本質的な矛盾を抱えながらも、ここまで洗練されたモデルの成長をみれば、イベントとしてのさらなる発展を信じないわけにはいかないでしょう。
 ロボコンには2つの意味があると考えています。1つは日本の製造業の中にUMLを定着、発展させるために(学生を含め)組込システム技術者の設計能力を高める教育的効果であり、2つ目は(さらに大それたことですが)日本のロボット産業の技術的リーダーシップの確立にUMLを役立てることです。ロボットは21世紀における日本の重要産業であり、その競争力の根幹が、複雑なシステムの連携を可能とする設計の品質にあることは明白です。OMGにおいても、日本の産業技術総合研究所やロボット工業会が中心になって、相互運用標準の提案に乗り出そうとしています。ロボコンの果たす役割は、さらに大きなものとなっていくでしょう。

運営/オペレーションについて

 テクニカル・カンファレンスは、オペラや演劇と同じように、総合的な「イベント」であり、周到な計画、脚本と演出、キャスティング、装置、プロセス管理と危機管理といった「堅固な」土台の上に、わざわざ行きたくなるだけの魅力としての新規性、創造性、意外性といったことが要求されます。弊社は、もっぱら中身を考えるのが本業で、大きなイベントの運営に関しては、ゼロから出発し、第2回(2002年)以来、毎年試行錯誤を続けてきました。今年はバーコードシステムを導入して来場者の動きの正確な把握につとめたほか、通訳者はすべてこの分野の第一人者に依頼しました。同時通訳には、専門分野の日英両国語に通暁しているだけでなく、講演者や技術的環境に対する即応性、不測の事態に際しての胆力など、総合的な能力が要求されるからです。おかげで、ビデオカンファレンスといった困難なセッションでも、驚くほどの品質の仕事をやっていただきました。
 また会場運営は、熟練した少数精鋭のスタッフにお願いし、思い切ってスリム化しました。しかし、こういうイベントでは起きがちの、予想外の事態への対応能力という点では十分ではなかったと反省しております。
 最後に、共催者として今回のイベントを支えていただいたUMLモデリング推進協議会(UMTP)、特別協賛としてご協力いただいた、(財)にいがた産業創造機構、(株)UML教育研究所に深く感謝する次第であります。 (了)

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