調査レポート『欧米におけるモデル駆動組込みシステム開発と標準化の現状
Vol.1 : モデル駆動システム工学 (MDSE) とその実践』

概要
ITは多種多様なシステムに組み込まれ、さらにそれらが複合されることにより、一種の複雑系(Complex System)を構成しつつあります。こうした超システム(System of Systems)は、ますます多くの戦略的製品技術、社会基盤に応用されていますが、この種のシステムの開発と管理はすでに従来の工学的アプローチの枠を超えています。それに応えるものとして、システム工学とソフトウェア工学を中心に、関連する工学系を統合しつつ、プロダクト(システム)のライフサイクルをサポートするモデル駆動システム工学(MDSE)が長い時間をかけて実用化されてきました。

本レポートは、産業技術としてきわめて高い戦略性を有するMDSEについて背景と成熟過程を追いながら、MDSEの現状を様々な実証プロジェクト、方法論、標準化とツールなどについて明らかにします (Vol.1)。次いでMDSEのモデリングにおいて中心的な標準となるOMG MARTE、およびAADLについて解説します (Vol.2)。

目次 (Table Of Contents)  詳細目次はこちら [PDF=200K]

  • 0. 序:本レポートの背景・意図と対象
  • はじめに:システムの「全体最適」を扱う工学へ
  • 0.1. 複雑系への挑戦としてのMDSE:SEとソフトウェア技術の融合
  • 0.2. MDSEの戦略的性格:技術を総合する技術
  • 0.3. 本レポートの対象と方法:コンセプト、実証プロジェクト、標準化、ツール
  • 1. 大規模組込みシステム開発の課題とMDSE
  • 1.1. 複雑系の一部としての組込みシステム
  • 1.2. モデル駆動開発のアプローチ
  • 1.3. システムレベルの表現と変換アーキテクチャのモデリング
  • 2. MDSEをめぐる標準化とOMG MARTE
  • 2.1. エンジニアリングの相互連携のための標準
  • 2.2. システムエンジニアリングのためのデータモデル:STEP
  • 2.3. システムへの要求のモデル化:SysML
  • 2.4. リアルタイム表現へのUMLの拡張:MARTE
  • 2.5. アーキテクチャ記述言語:AADL
  • 3. 欧米におけるMDSEの推進体制と実証プロジェクト
  • 3.1. 欧米におけるMDSE研究開発の現状と推進体制
  • 3.2. 欧州におけるMDSE開発
  • 3.3. 米軍改革とSoS開発・実証・構築プロジェクト
  • 4. MDSEのサポートツール
  • 4.1. MDSE支援環境開発の現状
  • 4.2. モデリング環境
  • 4.3. MDSEライフサイクル支援環境とEclipse
  • 5. MDSEの方法論へのアプローチ
  • 5.1. 要求の記述
  • 5.2. アーキテクチャのモデリング
  • 5.3. プロトタイピング
  • 5.4. シミュレーション
  • 5.5. テスティング


FAQ
本レポートの活用法、MDSEの重要性など、よくお寄せいただく質問を説明しています。

参考記事:『オブジェクト・レポート』より
「MARTEチュートリアル・テキスト 日本語版」
「MARTE:新しい組込みUML標準 - アーキテクチャ先導型コデザイン・パラダイムへ」


調査レポートの概要
書名:「欧米におけるモデル駆動組込みシステム開発と標準化の現状2008-09 - Vol.1: モデル駆動システム工学(MDSE)とその実践」
作成:オブジェクトテクノロジー研究所 調査部
監修:鎌田博樹 (オブジェクトテクノロジー研究所長)
協力:オブジェクト・マネジメント・グループ(OMG)
発行:2008年8月8日
構成:A4版 カラー/本文+付属資料 約70ページ (PDF = CD-ROM付)
価格:88,200円 (税込) ※送料当社負担
お申込み:電子メール、またはFAXにて(下記)

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<お問い合わせ>
オブジェクトテクノロジー研究所 出版部
EMAIL:info [at] otij.org/FAX:042-501-0787/電話:042-501-0786





FAQ

モデル駆動をあらゆるシステムに広げるMDSE

Q: MDSEとは何ですか?
A: モデルベースあるいはモデル駆動によるシステム工学のことで、ビジネス、製品から社会基盤まで、複雑なシステムの要求開発から設計、シミュレーション、実装、検証、運用、拡張などを含むライフサイクルのすべてにわたって、モデルをベースとし、多様なモデルの統合、変換、再利用を自在に行うことで、さまざまな環境変化に柔軟に対応できる堅牢なシステムを、効率的に築いていく新しいアプローチです。

Q: 従来のシステム工学とどう違うのですか?
A: ご存じのように、旧システム工学は、放送や電話、戦争や宇宙開発まで、巨大システムの開発の際に使われ、大きな成果をあげました。新しいシステム工学は、機械や電気、化学、建築などさまざまな工学分野がすべてコンピュータシステムでサポートされ、ビジネスもソフトウェアでモデル化されたことによって、これらに関る「複雑系」にモデルを適用することが可能となったことで形成されてきたものです。

Q: なぜいまMDSEが重要なのでしょう?
A: モデル駆動を実用化するには、(1) システムの構成要素を記述する標準、(2) 方法論や手法とベストプラクティス、(3) モデルの開発と利用を支援するライフサイクル管理環境、が必要です。欧米では、20年あまりかけて、これらの環境を整備し、宇宙航空・軍事から自動車、社会システムなどに応用分野を広げてきました。MDSEは、1950〜60年代以来の生産性革命を起こすことが確実視されています。

MDSE標準化の動向と日本への影響

Q: SysMLやMARTEはどんな標準ですか?
A: どちらも欧米の宇宙航空産業、自動車産業、政府研究機関、ITベンダーが中心となって策定したMDSEの標準で、1980年代からSTEPやCALSなどのプロジェクトで取組まれた技術がベースとなっています。SysMLはハード、ソフト、情報、ユーザーなどを含めた「システム」を表現し、MARTEは組込み/リアルタイムシステムを精密に表現しますが、ともにUML2を拡張し、そのツール環境を利用することができます。

Q: MDSEのメリットはどのようなものですか?
A: MDSEは、分散化、マルチコア化などで急速に性能と複雑姓を高めている複合システムについて、(1) 自動化により開発生産性を高める、(2) 確認と検証を早い段階で行うので、安全性が高まる、(3) 維持や拡張が容易に行えるようになる、(4) 要求と機能、実装、UIなどの関係を、ライフサイクルにわたって管理できる、(5) 開発、サービスなど現場のノウハウを反映し高度化できる、など多くのメリットがあります。

Q: 日本にはどんな影響がありますか?
A: 欧米諸国は、これまで膨大な開発資金を投じてMDSEの実用化にこぎつけました。すでに基本的な標準は揃い、ツールが利用可能になり、実践を通じて開発チームの成熟度を高める体制ができつつあります。日本でもこれらを導入し、製造業を中心に独自技術をモデルベースで応用・発展させることができる体制を5年以内に実現できなければ、急速に競争力を失うことになるでしょう。中国、インドも欧米に続こうとしているからです。

OTIのMDSEレポート Vol.1, Vol.2

Q: このレポートはどんなものですか?
A: 本レポートは、2007年に発行以来好評をいただいている「SysMLレポート」に続き、MDSEをめぐる開発と標準化の動向、方法論と開発環境などの現状を、欧米の最新情報、関係者とのコンタクトによって正確にお伝えすることを目的として取組まれています。Vol. 1は、2008年8月に発行され、Vol. 2は3月中の発行を目ざして進行中です。Vol.1で解説したMARTEのチュートリアルテキストは、一般に公開しました。

Q: 誰が読むべきでしょうか?
A: 上述しましたように、今後のあらゆるシステム技術において決定的に重要な意味を持つMDSEの位置づけと意味、各国の動向から、重要な標準と構成技術、事例まで広い視点でカバーしていますので、製造業、サービス業、ITを問わず、組込み・分散・リアルタイムシステムを扱う企業のCTO、技術責任者、開発技術者から、大学・研究機関の研究者の方々まで、幅広くご利用いただけます。

Q: レポートをどのように活用できますか?
A: 技術戦略の立案、その前提となる欧米の技術動向調査、MARTEの理解と評価、社内の研究会・セミナーの資料など、幅広くお使いいただけます。MDSEとその様々な技術分野を評価し、取組み方針、アプリケーション、CoE (Center of Excellence)、トレーニング、情報収集・調査などの計画を立てる際には、ほとんど唯一の日本語文献といえます。また、テーマを絞った追加的なカスタムリサーチなどもお受けしております。